世の中に服は溢れている。機能性スーツも、ラグジュアリースポーツも既に存在する。なぜ今、あえて新しいブランドを作る必要があったのか?

Makuakeで目標比1587%を達成した日本発のアスレジャーブランド『Engross』。
創業者である岡田健史は、元陸上競技者であり、現在は経営者・マーケターとしてビジネスの最前線を走る。 既存のアパレルに感じていた「違和感」と、採算度外視で詰め込んだ「狂気的なこだわり」、そして同世代の挑戦者たちへ送るメッセージを語った。

 

「オシャレ」と「運動」は、なぜ分断されているのか?


「年齢を重ねるにつれ、機能性の高いものやスポーティーなアイテムを好むようになりました。でも、運動する時に着られるオシャレな服が意外に少ない。結果的に、日常と運動の時間が『服』によってセパレートされていると感じたんです」

岡田はそう語る。自身も海外のラグジュアリーなライフスタイルブランドを愛用していたが、日常をオシャレに過ごす上では満足できても、運動するとなると機能性が不足していた。

「結局、用途に合わせて服を着分けないといけない。モノも増えるし、サステナブルじゃない」

一方、海外に目を向けると、女性を中心に「アスレジャー(アスレチック+レジャー)」という文化が急速に盛り上がっていた。ホテルにはジムが当たり前にある。朝運動してそのまま仕事へ行くシームレスな生活。日本でもそのスタイルを確立したいと考えた。
しかし、日本のメンズ市場には、「機能性」と「ファッション性」を両立させた確固たるプレイヤーが不在だった。

「だったら、ここに活路を見出して挑戦しよう。それがEngrossの始まりです」

 

「原価率」は無視。機能性と見た目は妥協したくなかった。


Engrossの服は決して安くはない。その理由は、異常なまでの素材へのこだわりにある。

「『機能性とファッション性の両立』を掲げる以上、妥協したくなかった。アパレル作りは初めてでしたが、少なくとも『着心地の良さ=生地の選定』だけは、自分が納得する品質で勝負したかったんです」

採用したのは、「フルダルカルトーネ」など原価が跳ね上がる高品質素材。さらに、一見気づかない「ファスナーの引き手(金具)」にまで、ハイブランドで使われる高価な部材を採用している。マーケターである岡田にとって、利益を優先する選択肢もあったはずだ。 「確かに原価は想定よりだいぶ高くなりました。でも、自分の友人・知人にも『自信を持ってオススメできる商品』を作りたかったんです」

デザインにも「引き算の美学」を込めた。派手な装飾を控え、SKUやカラー展開も絞り込む。「ロゴやネームが際立つように、あえて削ぎ落とす。着る人の幅を狭めすぎないミニマルさが、Engrossの世界観です」

 

「体形が変わってもカッコいい」1ミリの設計図


陸上競技出身の岡田だからこそ、体型の変化には敏感だ。 

「30代、40代の体のラインに沿って、シルエットが綺麗に見えるよう工夫しました。例えば、前面と背面の着丈、肩幅のバランス。何度もフィッティングを重ねて、数ミリ単位で調整しました。背中の生地をわずかに長くし、ドレープ(ひだ)を作ることで、お腹周りのラインを拾わないように設計しています。パンツも、トレーニング時のタイトさと、日常のリラックス感を両立させるため、裾にドローコードを仕込みました。絞ればスポーティーに、緩めればストレートに。一本で二役こなせる『小技』です

 

「売れない」壁と、その先に見据える使命


Makuakeでの華々しいデビュー。しかし、その後の一般販売は苦戦も経験した。 

「現実は甘くない。知名度のないブランドが高単価な服を売るハードルの高さを痛感しています。マーケターとして一定の自信はありましたが、アパレルはやはり別物ですね」

それでも諦めない理由は、明確だ。 「市場のニーズは間違いなく存在しますし、コンセプトに共感してくれる人も必ずいる。日本発のアスレジャーブランドとして、ファッションだけでなく『ライフスタイルの在り方』そのものを進化させていく使命感があります」

 

「挑戦者」のパフォーマンスを最大化するギアへ


現在、Engrossは次なる展開として「リカバリー機能」の強化を進めている。

「『血流促進』や『疲労軽減』といった効果が期待できる、温泉鉱石やオーガニック穀物炭などの素材を研究しています。着用することで、日常のパフォーマンスアップに繋がる。これはEngrossの理念そのものです」

岡田自身も、日々プレッシャーの中で戦う経営者だ。 「自分が作った服を着ると、やはり気持ちが上がります。Engrossは『挑戦に寄り添うブランド』。だからこそ、自分自身も気合いを入れたい日ほど、ゲン担ぎとして着ています」


最後に、壁に挑む「同志」たちへ、岡田はこうエールを送った。

日本は起業家や挑戦者がまだ少ない。40代からでも、大企業を辞めて泥臭く挑戦できる。壁に挑んだ人だけが、壁を乗り越えられる。挑戦の舞台に立っている自分に誇りを持ってほしい。私自身、泥臭くもがいている最中ですが、ゼロから挑戦する毎日は本当に充実しています。『壁を越え、さらに遠くへ!挑戦にスタイルを!』。皆さんの挑戦を、心から応援しています」

 

アスレジャーブランド Engross(エングロス)のセットアップ着用イメージ

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